うまい店、エロい店

徒然なるままに記述する

「小笹寿し」 銀座

平日の昼、うまい寿司が喰いたい。

ZAGAT SURVEY」で、トップに君臨する銀座の名店「小笹寿し」」にお邪魔した。

下北沢の「小笹すし」頑固親父の下で修行した方が暖簾わけして出した店。

銀座8丁目、並木通りから細い路地を入ったところに店は位置する。

暖簾をくぐる、大将の目の前のポジションに座らせていただく、いい位置だ。

大将、これがねじり鉢巻がよく似合う、無口な感じで話しかけるのもおっかないぐらい。

おまかせ、でいただくことに。

浅草の「弁天山美家古」のように、一貫ずつ出てくる、醤油を必要としない、主に煮切りで味付けされたスタイル。

15貫ぐらいいただいたか、どれもこれもマジで美味しかった。

特に、肝が上に添えられたカワハギ、酢がしっかり利いたシンコ、湯でハマグリ、最高だった。

言うまでもなく中トロも。

忘れてはいけないのが、穴子だ。

すでに他界してまった下北沢の頑固親父が出す「穴子」は相当うまかったようである。

ある有名な作家が、その穴子を口にし、

「小笹の穴子に宇宙を感じる」

と言ったそうだ。

それを聞いた時、俺は、彼を直ちに病院へついていくべきだ、と正直思った。

しかし、下北沢を踏襲する銀座のそれをいただいて、宇宙を感じる、ことはできなかったまでも、おいしいものを食べる喜び、は感じることができた。

大将は見かけと裏腹に、丁寧に会話に付き合ってくれた。

いろいろな話を聞くことができた。

昭和25年だったと思った、銀座に小笹寿司がオープン、それが小笹の歴史のルーツであるという話。

自分の目が行き届かない商売はしたくないので、多店舗展開はありえないという話。

それができる人を、類まれなる才能の持ち主、という表現をもって遠まわしに弁難していた。

などなど。

平日の昼にプラッと一人で寿司屋へ。

長居はよくない、1時間以内が望ましい、ガッツリ喰って、すぐに店を出る。

こんなの、どうなんだろう?

男の趣味というかライフスタイルとして、かなり小粋なんじゃないか、と、俺は思っている。

いい店だった、是非ともまた訪れたい。